なぜ猫は飼い主と一緒に寝るのか?愛猫が隣で眠りたがる5つの理由
猫が飼い主と一緒に寝たがる5つの理由
猫は気分屋でドライな性格と思われがちですが、実はとても愛らしい一面も持っています。寂しい時はそばにいてくれたり、一緒に寝てくれたりと優しさを見せてくれます。急に飼い主のベッドに入ってきた経験はありませんか?
今回は、猫が飼い主と一緒に寝たがる5つの大きな理由と、一緒に寝る際の注意点をお話しします。猫の気持ちが理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 安心感と安全を求めているため
猫は本来、単独で生活する傾向が強い動物ですが、同時に群れで生活することもできる社会性を備えています。その起源は、祖先である野生の山猫たちが持っていた習性に由来します。
山猫のメスは出産期に入ると、子猫を守るために他の山猫を自分の縄張りに入れません。しかし、まれに他のメス猫と協力して子育てをする例もあり、社会性の兆しが見て取れます。家猫にもこの祖先の習性が残されています。
人間と共生を始めた頃、猫は人間から住処と食事を提供してもらう代わりに、害獣駆除や伴侶としての役割を果たしてきました。このような環境から、猫は人間を自分の群れの一員と認識するようになったのです。
つまり、猫は飼い主を保護者のような存在ととらえ、安心感と安全を求めて寄り添おうとするのです。就寝時は最も無防備な状態になるため、身の安全を守ってくれる飼い主の隣で眠ることで、守られている実感を得られるのでしょう。
さらに、猫は鋭い嗅覚で飼い主の体温や匂いを感知できます。飼い主の気配に包まれることで、より一層安心できるようになります。このように、祖先の習性と人間との関係性から、猫は飼い主のそばで眠ることを自然と好むようになったと考えられています。
2. 飼い主との関係を深めるため
猫は基本的に社交的な動物であり、群れの中で円滑なコミュニケーションを取ることができます。家猫になった現代でも、この社交性は色濃く残されています。飼い主は猫にとって最も身近な「群れ」であり、良好な関係を保ちたがる本能があるのです。
特に、1日のほとんどの時間を家で過ごす留守番猫にとって、夜は飼い主と触れ合える貴重な機会となります。そのため、一緒に寝ることで、飼い主との絆を深めようとする行動に出るのだと考えられています。
また、猫には「一生子猫」と呼ばれる特徴があります。繁殖能力を持たない去勢・避妊された家猫は、終生「子猫気分」のままでいます。子猫は母親に寄り添いながら眠りますが、家猫はその習性を保ち続けるため、飼い主に母親のような存在を求めてしまうのです。
つまり、一緒に寝ることで、猫は飼い主との親和関係を確認し、愛情の確かめ合いをしているといえます。飼い主の匂いに包まれ、心地よい安らぎを感じながら眠ることで、猫はより一層飼い主に懐いていくでしょう。
このように、社交性と子猫気質から、一緒に寝ることは猫が飼い主との関係性を深める重要な機会となっているのです。
3. ストレスが軽減できるため
猫はストレスに非常に弱い動物です。人間にとってあまり問題にならないような出来事でも、猫にはストレスの原因になりかねません。
例えば、訪問客の出入りや近所の工事音など、猫からすれば生存を脅かす危険なノイズとなります。このようなストレス源に曝されると、猫は食欲がなくなったり、継続して嘔吐したり、ひどい場合は過剰な毛づやが始まることもあります。極端な恐怖心から、物陰に隠れて動かなくなる猫もいます。
一方で、猫が飼い主の匂いを嗅いだり、体温を感じたりすると、リラックス状態に入ることができます。安心できる存在である飼い主のそばで眠ることは、猫にとって最高のストレス解消法なのです。
寝ている間は警戒心を手放すことができ、緊張感から解放されます。さらに、飼い主の優しい息づかいに包まれ、体温で温めてもらえることで、猫はこの上ない安らぎを得られるのです。
このように、ストレスに晒されがちな猫が、飼い主の傍らで安心して眠ることができれば、不安からの解放とリフレッシュが同時に果たせます。猫にとって適度なストレス解消は健康維持に欠かせません。そのため、猫は本能的に飼い主と一緒に寝ることでストレス発散を図ろうとするのです。
4. 飼い主を守っているため
猫は領域本能が強い動物です。自分のテリトリーを守ろうとする本能が働くため、飼い主もその領域の一部であると認識しています。つまり、飼い主を自分の”所有物”のようなものとみなし、守ろうとする習性があるのです。
この習性の原点は、祖先である野生の山猫が持っていた強い縄張り意識にあります。野生の山猫は自分の縄張りを他の山猫から守るため、常に警戒しています。子育て中のメス猫ならば、自分の子猫を守るために一層危険に敏感になります。
家猫にもこの習性が色濃く残されているため、飼い主がテリトリーの一部であると意識し、飼い主を守ろうとします。特に領域意識が強くなる成猫期以降は、この習性が顕著に現れます。
また、猫は飼い主に対して「親馴れの対象」と認識しています。親から守られてきた幼少期の経験から、飼い主には守られたいと望むようになります。このように、野生の山猫時代の習性と、幼少期の経験が複合的に影響し、飼い主を守ろうとする本能につながっているのです。
そのため、飼い主と一緒に寝ることで、身の回りに危険が迫らないよう監視しやすくなります。寝ている最中でも、少しでも気になる音や匂いがあれば、すぐに反応できる状態を維持できます。このように、一緒に寝ることは、猫にとって飼い主を守るための行動なのです。
5. 心地よい温度が得られると知っているため
猫は人間以上に温度変化に敏感な動物です。その鋭い感覚は、祖先である野生の山猫時代から備わっていた生存に不可欠な能力です。
野生の山猫は、気温の変化に合わせて活動場所を移動させる必要がありました。寒い時期には日光に当たって体温を維持し、暑い時期には木陰などの涼しい場所で身を潜めていました。このように環境の温度変化に素早く適応することが、生き延びるための知恵だったのです。
現代の家猫もこの優れた温度感知能力を引き継いでいます。猫の鼻は人間の10倍以上の嗅覚細胞を持ち、わずかな温度差でも感知できるのです。0.1℃以下の微小な温度変化さえ、鼻から吸った空気の温度で確実に察知することができます。
このように優れた温度感知能力を持つ猫は、飼い主の体温や寝具の防寒効果によって心地よい温度が得られることを理解しています。特に寒い季節には、飼い主から供給される暖かさを求めてベッドに入ってくるのです。
一方で、猫は体を冷やし過ぎないよう気をつけています。熱帯夜などの暑い日でも、布団の中に入り、体が冷えないよう飼い主に寄り添って眠るのがその現れです。
このように、温度を的確に感知し、最適な環境を求める本能から、猫は飼い主と一緒に寝ることで、心地よい眠り心地を得られると知っているのです。
猫と一緒に寝ると得られる3つの効果
1.猫との親密度が上がり、良好な関係が築ける
猫は基本的に単独行動を好む動物ですが、一方で群れの中での生活にも適応できる社交性を備えています。家猫になった現在でも、この両面性は健在です。飼い主は猫にとって最も身近な「群れ」であり、安心して付き合える存在なのです。
猫が飼い主と一緒に寝ることで、猫は飼い主を自分の「守り手」だと認識するようになります。幼少期に母親に守られてきた経験から、飼い主にも同じような安心感を覚えるようになるのです。この「守られている」実感が、猫との絆を一層深める重要な要素となります。
さらに、猫は無防備な寝ている状態にさせてくれる飼い主を、強く信頼するようになります。猫にとって、寝ている間は危険に晒されやすい時間帯です。それでも飼い主の側で寝付けるのは、飼い主を完全に受け入れている証しといえるでしょう。
一方的に猫が飼い主に親しみを持つだけでなく、飼い主も猫への愛着が深まります。猫が無防備な寝姿を見せてくれることで、飼い主は猫を心から大切に思うようになるのです。このように相互の愛着が深まることで、猫と飼い主の絆は一層太く強固なものとなっていきます。
加えて、一緒に眠ることで、猫は飼い主の呼吸のリズムや体温、匂いを感じ取れます。猫にとってこれらは、飼い主の「個性」を感じる大切なサインとなります。親密な関係を結ぶためには、相手の個性を理解することが不可欠です。このようにして、猫は飼い主をより深く理解し、より良い関係を築くことができるのです。
2.飼い主自身のストレスも軽減される
猫が飼い主の隣で眠る際、よく「ゴロゴロ」と喉を鳴らす様子が見られます。このゴロゴロ音には、実は飼い主のストレス軽減に役立つ不思議な力が宿っているのです。
猫のゴロゴロ音は、20~50Hzの低周波数の振動音です。この周波数帯域は、人間の自律神経に働きかけて、副交感神経を優位にさせる効果があることが分かっています。副交感神経が優位になると、身体がリラックスした状態になり、不安やストレスが和らぐのです。
さらに、ゴロゴロ音の低周波振動は、脳内で幸せを司るセロトニンの分泌を促進します。セロトニンが分泌されると、心の安らぎや癒しの効果が得られ、ネガティブな感情が和らぎます。つまり、猫のゴロゴロ音を聞くだけで、自然と心身ともにリラックスできるようになるのです。
実際に、フランスでは猫のゴロゴロ音を活用した音楽療法が行われています。ゴロゴロ音を集めたCDを使い、入院患者のストレス軽減や睡眠の質の改善を図る試みが実践されているほどです。
このように、ただ猫と一緒に寝るだけで、ゴロゴロ音に包まれることにより、飼い主自身のストレスが軽減されるのです。睡眠の質も向上し、良質な休息が取れるようになります。猫はただいるだけで、飼い主に幸せと癒しをもたらしてくれる存在なのです。
3.猫のゴロゴロ音で心地よい睡眠がとれる
猫の温かい体温に加え、ゴロゴロ音の細かい振動が心地よい眠りを誘います。特に秋冬は寒さで眠れない夜も多いはずですが、猫と一緒に寝ると猫の体温で暖かく、ゴロゴロ音に癒されてぐっすりと眠れることでしょう。猫の気配を感じられるだけで、安心して熟睡できるはずです。
さらに、猫が喉を鳴らす「ゴロゴロ」音には不思議な力が宿っています。このゴロゴロ音は20~50Hzの低周波数で、人間には聞こえない微細な振動も伴っています。この低周波振動が自律神経を穏やかにし、脳波をアルファ波に近づけるのです。アルファ波は安らぎや集中力を高める働きがあり、熟睡や質の良い睡眠を促進します。
秋冬の寒い夜は、なかなか眠りにつけないものです。しかし、猫と一緒に布団に入れば、猫の高い体温でぽかぽかになり、ゴロゴロ音の低周波振動に癒されて、気づかぬうちに眠りに入ってしまうでしょう。猫の呼吸や体温の気配さえ感じられれば、安心感に包まれてぐっすりと熟睡できます。猫は飼い主の良質な睡眠をサポートする、実にありがたい存在なのです。
猫と一緒に寝る際の注意点
ノミやダニのリスク対策が必要
猫の毛は密度が高く長いため、ノミやダニが身を潜める絶好の環境となっています。ノミやダニは人間を刺したり噛んだりするだけでなく、様々な健康被害をもたらす可能性があります。
ノミによる主な健康被害
- ノミアレルギー性皮膚炎:ノミの唾液に含まれるアレルゲンにより、かゆみ、発疹、皮膚炎などのアレルギー反応
- リケッチア症:ノミが媒介するリケッチア菌に感染すると、発熱、頭痛、筋肉痛、発疹などの症状
ダニによる主な健康被害
- ダニアレルギー性皮膚炎:ダニの死骸や糞のアレルゲンにより、かゆみ、湿疹、皮膚炎などのアレルギー反応
- ツツガムシ病:ダニが媒介するリケッチア属の細菌に感染すると、発熱、倦怠感、関節痛、発疹などの症状
このように、ノミやダニは軽くてはいけない健康リスクがあります。猫と一緒に寝る際は、ノミ・ダニ予防薬の定期的な使用と、寝具類の頻繁な洗濯などの対策が不可欠です。清潔な環境を維持することで、ノミやダニから身を守ることができます。
羽毛布団は避けた方が無難
猫は本来、砂の上で排泄をする習性があります。しかし中には、柔らかい布地の上で排泄をしたがる子もいます。特に羽毛布団はカサカサとした音が砂の音に似ていたり、羽毛特有のにおいがあったりするため、猫にとって排泄する適した場所と誤解されやすいのです。
万が一、羽毛布団の上で猫が排泄をしてしまうと、羽毛が汚れを吸収してしまい、根本から臭いや汚れを落とすのが非常に困難になります。洗濯しても臭いが残ったり、汚れが落ちきらない可能性が高くなるのです。
さらに、羽毛ははがれやすいため、猫が羽毛を食べ込んでしまうリスクもあります。羽毛が体内に詰まると、重大な健康被害につながる恐れがあります。
このように、猫と一緒に寝る際は、羽毛布団を避けた方が無難です。代わりに洗濯が簡単な肌掛け布団やタオルケット、シーツ類を使うと良いでしょう。排泄の失敗があっても、こまめな洗濯で対応できます。猫の健康と共に、寝具の衛生面も考慮する必要があります。
子猫の時は一緒に寝るのは控えめに
子猫は非常に小さく、体重も軽いため、飼い主が寝返りを打ったりした時に、無意識のうちに子猫を潰してしまう危険性があります。特に乳児や幼児がいる家庭では、夜間に子猫を踏んでしまう可能性もあり、大変危険です。
また、ベッドの高さが地面から離れている場合、子猫が落下して怪我をするリスクも無視できません。子猫の骨は非常にもろく、わずかな落下でも骨折や打撲を負ってしまう可能性があります。
さらに、子猫は免疫力が弱く、飼い主から病原体を移され病気になる恐れもあります。子猫の体調が優れないと、命にもかかわりかねません。
このように、子猫の頃は一緒に寝ることのリスクが高すぎるため、基本的に避けた方が賢明です。獣医師の間でも、生後4ヶ月から5ヶ月を過ぎるまでは、一緒に寝ないことが推奨されています。
子猫の安全を第一に考え、猫が十分に大きくなり、落ち着いてから徐々に一緒に寝る習慣を身に付けさせるのがベストな対応といえるでしょう。
猫と信頼関係を築くことが大切
猫は信頼していない相手と一緒に寝ません。無理に連れてくるのは逆効果です。猫のペースに合わせて少しずつ慣らし、日頃からスキンシップを取るなど適切に接することで、猫と信頼関係を築くことが重要です。
一緒に寝てくれなくても信頼関係があれば問題はありません。体調不良がないか様子を見て、愛猫と良好な関係を保ちながら暮らしていきましょう。
投稿者プロフィール
- 「ねこびとライター!ももこ」プロフィール
猫愛にあふれるライターです。
過去に保護猫活動の経験を持ち、猫たちの命を守るために全力を尽くしてきました。自宅では、あまあまの黒猫「まめ」とハチワレ「くるみ」の2匹とともに楽しい毎日を過ごしています。
現在はライターとしての仕事をしていて主に猫に関する記事を執筆しています。
また、ライターの仕事とは別に猫に関連する場所への旅行も好きです。新たな猫の友達と出会い、世界中の猫カルチャーを探求することことを目指しています!
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