
年の瀬が近づくにつれ、帰省や旅行の計画を立てる方が増えてきます。しかし、愛猫と暮らす飼い主にとって、この時期は大きな悩みを抱える時期でもあります。大切な家族である猫をどこに預けるか、どのように準備すればよいのか。本記事では、最新の調査データに基づき、年末年始のペット事情と実践的な対策を解説します。

なぜペットのトリミングサロンは年末に混むのか
年末のペット業界は、一年を通じて最も忙しい時期を迎えます。特にトリミングサロンの混雑は目を見張るものがあり、多くの施設では数ヶ月前から予約が埋まってしまいます。
最も大きな要因は、「新しい年をパートナーと清潔で美しい姿で迎えたい」という飼い主の願いです。年末の大掃除や新年を迎える準備と同様に、ペットも綺麗にしてあげたいという気持ちが、この時期の需要を急激に押し上げています。
さらに、年末年始は帰省や旅行を計画する時期でもあります。ペットホテルに預ける際に「せっかくだから綺麗にしてから預けたい」と考える飼い主が多く、トリミングとペットホテルの需要が重なることで混雑が加速します。
また、年末年始に休業期間を設けるサロンが多いため、営業日に予約が集中する構造的な問題も存在します。ペット業界全体で深刻化している人材不足とトリマーの離職率の高さも、受け入れ可能な予約数を制限する要因です。
トリマーが1日に対応できる頭数は、犬種やサイズによって異なりますが、カットを伴う場合はだいたい2~5頭程度とされています。1頭あたり2~3時間を要するため、繁忙期には施設とスタッフの双方が限界に近い状態で運営されているのが実情です。

年末年始のペットホテル予約の現実
株式会社エレメントとペット保険STATIONが2025年11月に実施した全国300人対象の調査によれば、年末年始にペットホテルの予約を試みた人のうち「希望通り予約できた」のはわずか32%にとどまり、約3割が「予約難民」となっている深刻な状況が明らかになりました。
さらに注目すべきは、居住地域のペットホテル数について「十分にある」と回答した飼い主はわずか約10.3%で、「少ない」「ほとんどない」「全くない」と回答した飼い主が合わせて約89.7%に達している点です。この地域格差は、都市部と地方の差だけでなく、同じ都市圏内でも地区によって大きな違いがあることを示しています。

猫のペットサロン予約を成功させるコツ
年末の混雑を乗り越えて希望通りの日時に予約を確保するためには、戦略的なアプローチが必要です。
早期予約が最重要
最も重要なポイントは「早期予約」です。前述の調査では、希望日にすぐ予約できた飼い主は32%しかおらず、残りの約68%は何らかの制約や妥協を強いられています。人気店では半年前から予約が埋まるケースも珍しくありません。年末年始の予定が決まった段階で、できるだけ早くサロンに連絡を入れることが成功への第一歩です。
複数の候補施設をリストアップ
第一希望の施設で予約が取れない場合に備えて、あらかじめ複数の選択肢を準備しておきましょう。この際、自宅からの距離だけでなく、以下の点を総合的に評価することが大切です:
- 猫専用スペースの有無
- スタッフの経験と資格
- 緊急時の対応体制
- 施設の設備やサービス内容
特に猫の場合、犬と同じ空間で過ごすことは大きなストレスとなるため、猫専用の施設や猫専用スペースを設けているサロンを優先的に選ぶべきでしょう。
日程の柔軟性を持たせる
多くの飼い主がクリスマス直後から年末の数日間に集中して予約を希望するため、この期間は最も競争が激しくなります。可能であれば12月前半や中旬にトリミングを済ませる、あるいは年明けに予定をずらすなど、ピーク期間を避ける工夫をすることで、希望に近い日程で予約できる可能性が高まります。
定期利用で優先予約を確保
普段から定期的にサロンを利用している顧客は、年末の繁忙期でも優先的に予約を受け付けてもらえることがあります。年末だけの利用ではなく、年間を通じて関係を築いておくことが、長期的には最も確実な予約確保の方法です。
料金とキャンセルポリシーの確認
年末年始は「繁忙期料金」として通常料金より高く設定されていることが一般的です。また、キャンセルポリシーも通常時とは異なる場合が多く、変更やキャンセルが無料でできる期限が短く設定されていることもあります。予約時にこれらの詳細を確認し、書面やメールで記録を残しておきましょう。

猫特有の配慮が必要な理由
獣医師の見解では、猫は犬に比べてペットホテルよりも自宅での留守番の方がストレスが少ないとされています。猫は本質的に縄張り意識が強く、環境の変化に敏感な動物です。住み慣れた自宅を離れることは、猫にとって大きなストレスとなり得ます。
しかし、年末年始のような長期間の留守や、適切なケアが必要な状況では、専門施設に預けることが最善の選択となる場合もあります。その際に重要なのは、猫の特性を理解し、適切な配慮を行っているペットホテルを選ぶことです。

ペットホテル選びの具体的なチェックポイント
施設の清潔さと環境
施設内やケージが常に清潔に保たれているか、適切な換気と温度管理が行われているかを確認しましょう。可能であれば、実際に施設を見学することを強くお勧めします。写真やウェブサイトの情報だけでは分からない、実際の雰囲気やスタッフの対応を直接確認できます。
スタッフの質と専門性
動物ケアに関する専門的な知識や経験を持っているか、猫の行動や健康状態を適切に観察できるスキルがあるかを確認しましょう。特に、猫の体調変化のサインを見逃さない観察眼と、緊急時に迅速に対応できる体制が整っているかは必須条件です。
管理体制の確認
- 夜間はスタッフが常駐しているのか、カメラでの監視なのか
- 緊急時にすぐに獣医師の診察を受けられる体制が整っているか
- 提携している動物病院があるか
これらの点を事前に確認し、納得できる回答が得られるホテルを選びましょう。年末年始は多くの動物病院が休診となるため、緊急時の対応体制は特に重要です。

猫の留守番時間の目安
ペットホテルに預けるか自宅で留守番させるかを判断する際、獣医師監修の情報によれば、猫の留守番時間の目安は以下の通りです:
- 子猫(生後0~6ヶ月未満):1~3時間程度
- 成猫(生後6ヶ月以上):12~14時間程度
猫は飼い主がいない間は寝て過ごすことが多いため、適切な環境が整っていれば成猫は比較的長時間の留守番が可能です。ただし、高齢猫(7歳以上)や持病のある猫の場合は、体調変化のリスクが高まるため、短時間でも注意が必要です。

事前準備で猫のストレスを軽減する
お試し利用で段階的に慣らす
最も重要なのは、事前に短時間のお試し利用をすることです。いきなり数日間預けるのではなく、まず数時間、次に半日、そして一泊と、段階的に慣らしていくことで、猫の不安を和らげることができます。
持ち物の準備
- フード:普段食べているキャットフードを一回分ずつ小分けにして持参
- 匂いのついた物:飼い主の匂いがついたタオルや毛布、お気に入りのおもちゃ
- 健康情報:ワクチン接種証明書、持病の詳細、服用している薬、アレルギーの有無
詳細な情報の共有
- 食事の好みとトイレの習慣
- 性格的な特徴(人見知り、音に敏感など)
- かかりつけの動物病院の連絡先
- 緊急時の対応についての事前協議

ペットホテル以外の選択肢
予約が取れない場合や、猫の性格的にホテルが適さない場合には、他の選択肢も検討しましょう。
ペットシッター
自宅で猫のお世話をしてくれるサービスです。猫にとっては慣れた環境で過ごせるため、ストレスを大幅に軽減できます。獣医師の見解でも、猫の場合は自宅でペットシッターに1日1~2回来てもらうのがベストとされています。特に高齢猫や持病のある猫、環境変化に極度に敏感な猫には理想的な選択肢です。
動物病院での一時預かり
常に獣医師や動物看護師の監視下にあるため、健康面での安心感は最も高いと言えます。特にシニア猫や慢性疾患を抱えている猫には適した選択です。ただし、すべての動物病院が預かりサービスを提供しているわけではなく、入院患者の状況によっては受け入れられない場合もあります。
信頼できる家族や友人
金銭的な負担が少なく、気心の知れた相手であれば細かな要望も伝えやすいというメリットがあります。ただし、相手の負担を十分に考慮し、お世話の内容、緊急時の対応、費用の負担などについて事前にしっかりと話し合っておくことが大切です。
短期間の自宅留守番
健康な成猫であれば、12~14時間程度の留守番は可能とされています。自動給餌器や給水器、複数のトイレを用意するなど、環境を整えることで猫の快適さと安全を確保できます。

万が一に備えるペット保険
年末年始にペットホテルを利用する際、万が一のトラブルに備えてペット保険の加入を検討することも重要です。環境の変化によるストレスで体調を崩したり、思わぬ事故が発生したりするリスクはゼロではありません。
特に年末年始は多くの動物病院が休診または時間外診療となるため、通常よりも高額な医療費が発生する可能性があります。ペット保険に加入していれば、急な治療や入院、手術が必要になった場合でも、費用面の心配を軽減できます。
保険を選ぶ際は、休日や夜間の診療費が補償対象になるか、入院・手術・通院の範囲がどこまでカバーされるか、補償対象外となる内容は何かなどを詳しく確認しましょう。

まとめ:計画的な準備が安心への鍵
年末年始のペット事情は、トリミングサロンとペットホテルの両方で深刻な混雑が発生しています。最新の調査では、希望通り予約できた飼い主はわずか32%にとどまり、約89.7%が地域のペットホテル不足を実感しています。
この状況を乗り越えるためには、何よりも早期の情報収集と行動開始が不可欠です。理想的には、年末の3~6ヶ月前には予約の検討を始め、複数の候補施設を比較検討しておくことが望ましいでしょう。
猫の場合は特に、犬とは異なる特性を理解し、ストレスを最小限に抑える配慮が必要です。猫専用の施設を選ぶ、事前のお試し利用で慣らす、飼い主の匂いがついた物を持参するなど、細かな配慮の積み重ねが、猫の快適さと安全を守ります。
また、ペットホテルだけでなく、ペットシッターや動物病院の一時預かり、信頼できる知人への依頼など、複数の選択肢を検討しておくことで、万が一の際にも柔軟に対応できます。
年末年始は一年で最も特別な時期だからこそ、愛猫にとっても飼い主にとっても安心して過ごせるよう、計画的な準備を心がけましょう。そして、ペットホテルやトリミングサロンで働くスタッフへの感謝の気持ちも忘れずに。彼らは繁忙期の中、私たちの大切な家族を懸命にケアしてくれています。
参考情報
- 株式会社エレメント/ペット保険STATION – 年末年始のペットホテル利用実態調査
- トリマーの1日の仕事内容
- 獣医師監修:ペットの留守番時間の目安
- 獣医師監修:猫の留守番とペットホテルの注意点
- 猫の留守番時間と対策
投稿者プロフィール

- 猫ライター
- 猫2匹と暮らす猫ライターの「もふこ」です。
物心ついたころにはもう猫とずっと一緒に暮らしてきました。
もう猫がいない生活は考えられないほど猫好きな私が20うん年猫と暮らしてきた中で得た知識や面白猫情報などをお伝えできたらいいなと思っています!
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