猫の尿路結石・膀胱炎|冬に急増する泌尿器トラブルの原因と対策【2026年最新版】

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冬の訪れとともに、動物病院には「うちの猫が何度もトイレに行くんです」という相談が増え始めます。実は、猫の泌尿器系疾患は冬季に発症が増加することが、国内外の複数の調査で明らかになっています。寒さによる飲水量の減少や活動量の低下が、大切な愛猫の健康を脅かすリスクを高めるのです。

本記事では、猫の尿路結石と膀胱炎について、最新の獣医学的知見に基づいた症状の見分け方から治療法、そして冬に特化した実践的な予防対策まで、飼い主さんが知っておくべき情報を詳しく解説します。

冬になると猫の泌尿器疾患が増える理由

冬になると猫の泌尿器疾患が増える理由

北米の大規模疫学調査(4,111症例)では、猫下部尿路疾患(FLUTD)の発症が冬から春にかけて明確なピークを示すことが確認されています。この季節性は北半球・南半球を問わず観察されており、単に気温の低下だけでなく、日照時間の変化も関与している可能性が指摘されています。

日本国内でも、猫飼育者を対象とした調査で冬季の発症増加が報告されており、多くの獣医師が臨床現場で同様の傾向を実感しています。では、なぜ冬に泌尿器トラブルが増えるのでしょうか。

飲水量の減少が引き起こす悪循環

猫はもともと砂漠出身の動物であり、少ない水分でも生存できるよう進化してきました。そのため健康な状態でも尿は濃縮されていますが、冬になると飲水量がさらに減少します。水が冷たくなることへの嫌悪感、水飲み場への移動が寒いことによる躊躇、そして暖房による室内の乾燥が、この問題を加速させます。

飲水量が減ると尿の濃度が高まり、尿中のミネラル成分が結晶化しやすくなります。同時に、濃縮された尿は膀胱粘膜を刺激し、炎症を引き起こしやすくなるのです。

活動量低下とトイレの我慢

寒さで猫の活動量が減ると、代謝が低下し排尿回数も減少します。さらに、トイレが寒い場所にあると、猫は排尿を我慢する傾向があります。国内調査では、半数以上の家庭が猫トイレを「寒い」または「やや寒い」場所に設置していることが明らかになっています。

膀胱内に長時間尿が滞留すると、細菌が繁殖しやすくなり、結晶の形成も促進されます。これが膀胱炎や尿路結石の発症リスクを高める重要な要因となっているのです。

尿路結石症と膀胱炎を理解する

尿路結石症と膀胱炎を理解する

猫の泌尿器系疾患は複雑で、しばしば複数の病態が同時に存在します。適切な対応のためには、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

尿路結石症(尿石症)とは

尿路結石症は、膀胱や尿道に結晶や結石が形成される疾患です。猫に最も多いのはストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の二種類です。

ストルバイト結石はアルカリ性の尿で形成されやすく、食事療法によって溶解できる可能性があります。一方、シュウ酸カルシウム結石は酸性尿で形成され、残念ながら食事では溶かすことができません。そのため、手術による摘出が必要になることが多いのです。

特に注意すべきは、オス猫の尿道が細く長いという解剖学的特徴です。小さな結石でも尿道に詰まりやすく、完全閉塞を起こすと急性腎不全から尿毒症へと進行し、48時間以内に命を落とす危険性があります。

膀胱炎の多様な原因

膀胱炎は膀胱に炎症が起こる病気ですが、その原因は多岐にわたります。犬では細菌感染による膀胱炎がほとんどですが、猫の場合は状況が異なります。

猫で最も多いのは「特発性膀胱炎」と呼ばれるタイプで、明確な原因が特定できない膀胱炎です。ストレスが大きな要因とされており、環境の変化、多頭飼育によるストレス、トイレへの不満などが引き金になることがあります。冬季は寒さ自体がストレス要因となり、特発性膀胱炎を誘発しやすくなります。

また、尿路結石が膀胱壁を傷つけることで二次的に膀胱炎が発症したり、反対に膀胱炎によって尿のpHが変化して結石形成が促進されたりと、両者は密接に関連しています。

見逃してはいけない症状のサイン

見逃してはいけない症状のサイン

猫の泌尿器疾患は、早期発見が予後を大きく左右します。以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。

排尿の様子に現れる異常として、短い間隔で頻繁にトイレに行くものの尿があまり出ない頻尿、排尿姿勢を何度もとるのにポタポタとしか出ない排尿困難、そして排尿時に鳴き声を上げるなどの痛みのサインがあります。トイレ以外の場所で排尿する粗相も、痛みやストレスによる重要なサインです。

尿の見た目の変化も見逃せません。ピンク色から赤色の血尿、結晶や膿が混じった白濁した尿、通常より強い臭いなどは、泌尿器疾患を強く疑う所見です。

全身症状としては、元気や食欲の低下、陰部を頻繁に舐める行動の増加が見られます。そして最も危険なのが、完全に尿が出なくなる尿閉です。6時間以上尿が出ない状態が続くと急性腎不全を起こし、最悪の場合は数日で死に至ることがあります。これは真の緊急事態であり、夜間であっても直ちに救急病院を受診する必要があります。

診断と治療の実際

診断と治療の実際

診断プロセス

動物病院では、まず詳しい問診と身体検査を行います。特に膀胱の触診は重要で、膀胱の大きさや硬さ、痛みの有無を確認します。

その後、尿検査によって尿のpH、比重、結晶の有無、細菌感染の有無などを調べます。超音波検査やレントゲン検査では、結石の有無、大きさ、位置を確認します。血液検査は腎機能の評価に不可欠で、特に尿閉を起こしている場合は緊急で実施されます。

治療法の選択

治療法は病態の重症度によって大きく異なります。

軽度から中等度の場合、内科的治療が選択されます。細菌感染があれば抗生物質を投与し、痛みや炎症に対しては消炎鎮痛剤を使用します。ストルバイト結石の場合は、尿を酸性化する療法食による溶解療法が効果的です。十分な水分摂取の促進も治療の重要な柱となります。

通院治療の場合、1回あたりの診療費は15,000円程度が目安ですが、検査内容や処方される薬によって変動します。定期的な再診と尿検査が必要になるため、総治療費は数万円から十数万円になることもあります。

一方、溶解できないシュウ酸カルシウム結石がある場合や、結石が大きい場合、尿道閉塞が解除できない場合には外科手術が必要です。膀胱切開術による結石摘出は比較的標準的な手術で、成功率は高いとされています。2024年の研究報告では、単純な膀胱切開術や尿道造口術では良好な予後が得られることが確認されていますが、複数の術式を組み合わせた複雑な症例では、より慎重な管理が必要です。

手術費用は病院や手術の種類によって大きく異なりますが、検査費、麻酔費、手術費、入院費を含めて10万円から30万円程度が一般的な範囲です。より高度な手術(尿管結石の摘出やSUBシステムの設置など)では、さらに高額になることもあります。

術後は2日から5日程度の入院が必要で、排尿の状態や感染予防の管理を行います。退院後も定期的な通院と尿検査による経過観察が重要です。

冬に実践したい予防対策

冬に実践したい予防対策

予防は最良の治療です。特に冬季は、以下の対策を徹底することで泌尿器疾患のリスクを大幅に減らすことができます。

水分摂取を促す工夫

家の中の暖かい場所に複数の水飲み場を設置しましょう。猫は新鮮な水を好むため、こまめに水を交換することも大切です。冷たい水よりも、ぬるま湯(人肌程度)の方が冬場は飲みやすくなります。

流水を好む猫には、循環式の給水器が効果的です。また、ウェットフードの併用や、ドライフードをふやかして与えることで、食事からの水分摂取を増やすことができます。詳しい水分補給の工夫については、寒い冬でも猫に水分補給を!簡単な対策10選もご参照ください。

トイレ環境の最適化

トイレは猫が快適に使える暖かい場所に設置しましょう。理想的には、猫が普段過ごす場所との温度差が少ない場所です。複数飼育の場合は、「猫の頭数プラス1個」を目安にトイレを用意し、それぞれ暖かい場所に分散配置します。

清潔さも極めて重要です。猫はデリケートな動物で、汚れたトイレを嫌がります。少なくとも1日1回、できれば毎回の排泄後に掃除することが理想的です。

室内環境の整備

エアコンや暖房器具を使用して、室温を18~22℃程度に保ちましょう。特に夜間の冷え込みに注意が必要です。同時に、加湿器を使用して湿度を50~60%に保つことで、体感温度が上がり、気道からの水分蒸発も抑えられます。

猫が暖かく休める場所も重要です。ペット用ヒーター、暖かい毛布、湯たんぽなどを活用して、猫が快適に過ごせる環境を作りましょう。

食事管理とストレスケア

尿路結石の既往がある猫には、獣医師の指導のもと適切な療法食を継続します。療法食は尿のpHを適正に保ち、結石の再発を予防する効果があります。

ストレス管理も忘れてはいけません。冬場の環境変化を最小限に抑え、猫が安心して過ごせる環境を維持します。室内でも遊びを通じて適度な運動を促し、代謝を維持することも大切です。

肥満は尿路疾患のリスク因子です。定期的な体重測定と、必要に応じた食事量の調整を行いましょう。

定期的な健康チェック

毎日のトイレチェックで、排尿回数、尿量、尿の色、排尿時の様子を観察する習慣をつけましょう。特に冬場は、月に1回程度の動物病院での尿検査をお勧めします。

少しでも異常を感じたら、様子を見ずにすぐに動物病院に相談してください。早期発見・早期治療が、愛猫の苦痛を最小限にし、治療費も抑えることにつながります。

ペット保険の活用

膀胱炎や尿路結石の治療費は、基本的にペット保険で補償されます。特に手術が必要になった場合の経済的負担は大きいため、万が一に備えてペット保険への加入を検討することも賢明です。ただし、既に診断されている疾患は補償対象外となることが多いため、健康なうちに加入することが重要です。

再発予防の重要性

再発予防の重要性

一度尿路結石や膀胱炎を発症した猫は、残念ながら再発しやすい傾向があります。研究によれば、シュウ酸カルシウム結石の再発率は約50%とも報告されています。

そのため、治療後も生涯にわたる予防管理が必要です。定期的な尿検査、適切な食事管理、十分な水分摂取、ストレスの軽減など、継続的なケアが愛猫の健康を守ります。獣医師と相談しながら、長期的な健康管理計画を立てましょう。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)

Q1: 冬になると本当に猫の泌尿器疾患は増えるのですか?科学的根拠はありますか?

A: はい、複数の研究で冬から春にかけて猫の下部尿路疾患が増加することが確認されています。北米の大規模調査(4,111症例)では3月にピークが見られ、この傾向は世界各地で観察されています。主な原因は飲水量の減少、活動量の低下、トイレの我慢などです。日本国内でも、獣医師の臨床経験として冬季の発症増加が広く認識されています。

Q2: オス猫とメス猫で、泌尿器疾患のリスクに違いはありますか?

A: オス猫は尿道が細く長いため、小さな結石でも尿道閉塞を起こしやすく、緊急手術が必要になるケースが多いです。一方、メス猫は尿道が短く太いため閉塞は起こりにくいものの、細菌感染による膀胱炎を起こしやすい傾向があります。また、去勢・避妊手術を受けた猫は、肥満になりやすいことから泌尿器疾患のリスクが若干高くなるとされています。

Q3: 尿が全く出なくなった場合、どのくらい緊急性が高いのですか?

A: 完全な尿閉は真の緊急事態です。6時間以上尿が出ない状態が続くと急性腎不全を起こし、48~72時間で命を落とす危険性があります。猫がトイレに何度も行くのに尿が出ない、苦しそうに鳴く、お腹が張っているなどの症状が見られたら、夜間であっても直ちに救急病院を受診してください。時間との勝負です。

Q4: 療法食は一生続けなければいけませんか?普通のフードに戻すことはできますか?

A: これは個々の猫の状態によって異なります。ストルバイト結石が溶解した後、尿検査で問題がなければ、徐々に通常食に切り替えられる場合もあります。しかし、シュウ酸カルシウム結石の既往がある場合や、再発を繰り返す場合は、生涯にわたって療法食を続けることが推奨されます。獣医師と相談しながら、定期的な尿検査で状態を確認することが重要です。自己判断でフードを変更すると再発のリスクが高まります。

Q5: 手術をした場合、再発の可能性はどのくらいありますか?

A: 再発率は結石の種類によって大きく異なります。ストルバイト結石は適切な食事管理で再発をかなり抑えられますが、シュウ酸カルシウム結石は再発率が高く、研究によれば約50%との報告もあります。手術で結石を取り除いても、結石ができやすい体質そのものは変わらないため、術後の予防管理が極めて重要です。定期的な尿検査、適切な食事、十分な水分摂取を継続することで、再発リスクを下げることができます。

まとめ|愛猫の健康を守るために

まとめ|愛猫の健康を守るために

猫の尿路結石と膀胱炎は、冬季に発症が増加する季節性の高い疾患です。放置すると尿道閉塞から急性腎不全へと進行し、命に関わる事態になる可能性があります。しかし、適切な予防対策を講じることで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。

水分摂取の工夫、トイレ環境の最適化、室内環境の整備、ストレス管理、定期的な健康チェックなど、飼い主さんができることはたくさんあります。飲水量が保たれると、膀胱炎や結石だけでなく、猫の死因上位である慢性腎臓病の予防にもつながります。冬は特に、飲水対策が猫の健康を支える大きな力になるのです。

愛猫の小さな変化を見逃さず、異常を感じたらすぐに動物病院に相談することが、大切な家族の健康を守る第一歩です。この冬は、いつも以上に愛猫の泌尿器ケアに注意を払い、快適で健康的な冬を過ごせるようサポートしてあげましょう。


参考情報

投稿者プロフィール

ねことぴあ カオリ
ねことぴあ カオリ猫ライター
子供のころから獣医を目指していましたが、家庭の事情でその夢を諦めざるを得ませんでした。
現在はアメリカンショートヘアの愛猫「しずく」と一緒に暮らしています。しずくとの日々の生活から得た知識も交え、猫に関する魅力的な記事を執筆しています。
現在、愛玩動物飼養管理士の資格取得に向けて勉強中です。更なる知識の向上と猫の健康と幸福を守るために、専門知識を学び、より多くの猫と飼い主さんに役立つ情報を提供したいと思っています。
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子供のころから獣医を目指していましたが、家庭の事情でその夢を諦めざるを得ませんでした。
現在はアメリカンショートヘアの愛猫「しずく」と一緒に暮らしています。しずくとの日々の生活から得た知識も交え、猫に関する魅力的な記事を執筆しています。
現在、愛玩動物飼養管理士の資格取得に向けて勉強中です。更なる知識の向上と猫の健康と幸福を守るために、専門知識を学び、より多くの猫と飼い主さんに役立つ情報を提供したいと思っています。

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