猫と年末年始の帰省ガイド|愛猫と過ごす or 留守番?最適な選択のための完全ガイド

年末年始の帰省シーズンが近づくと、猫の飼い主さんは毎年同じ悩みに直面します。「愛猫を連れて行くべきか、それとも留守番させるべきか…」。どちらを選んでも不安がつきまとうものです。
この記事では、猫と一緒に帰省する方法から留守番対策まで、年末年始を安心して過ごすための完全ガイドをお届けします。ペットタクシーの活用法や、移動中のストレス対策、留守番時の注意点など、実践的な情報を獣医師監修の信頼できるデータとともにご紹介していきます。

1. 帰省シーズンに多い飼い主の悩み
「実家に帰りたいけれど、猫をどうしよう…」「連れて行くのはストレスになるかも。でも、置いていくのも心配…」
年末年始の帰省を前に、こんな葛藤を抱える飼い主さんは少なくありません。猫は環境の変化に敏感な動物です。知らない場所への移動は大きなストレスになりますが、かといって長期間の留守番も不安がつきまといます。
特に年末年始は、ペットホテルやペットシッターの予約が集中します。ペット保険ステーションが実施した300人の飼い主を対象とした調査によると、約3割の飼い主さんが「予約が取れなかった」「妥協して予約した」という経験をしており、早めの判断と準備が猫にとっても飼い主さんにとっても安心につながります。
この記事では、連れて行くか留守番させるかの判断基準から、各移動手段の注意点、帰省先でのストレス対策、留守番させる場合の環境づくり、そして年末年始に起きやすいトラブルと対処法まで、愛猫の性格や健康状態に合わせて最適な選択ができるようサポートします。

2. 連れて行く?留守番?判断のための4つのポイント
猫の性格を最優先に考える
猫の性格は個体差が大きく、帰省の判断において最も重要な要素となります。飼い主への依存度が高い甘えん坊タイプや、社交的で新しい環境にも比較的順応できる猫、過去に旅行や移動の経験があり慣れている猫であれば、連れて行くという選択肢も考えられるでしょう。
一方で、警戒心が強く怖がりな性格の猫、テリトリー意識が強く環境変化に敏感な猫、人見知りが激しく知らない人が苦手な猫の場合は、留守番の方が無難です。獣医師によると、猫は単独行動を好む動物で、一般的には「住み慣れた環境で留守番」の方がストレスが少ないとされています。ただし、飼い主との絆が強い猫の場合、分離不安のリスクも考慮する必要があります。
年齢と健康状態をしっかりチェック
生後6ヶ月未満の子猫の場合、長時間の移動は体力的に大きな負担となります。数時間おきの食事が必要なため、留守番は推奨されず、やむを得ず連れて行く場合は、こまめな休憩と獣医の事前相談が必須です。
成猫(1歳から7歳)であれば、健康状態が良好なら移動も留守番も可能ですが、やはり個体差が大きいため性格を重視した判断が求められます。
7歳以上のシニア猫になると、環境変化へのストレス耐性が低下するため、特に注意が必要です。持病がある場合は特に慎重な判断が求められ、移動を検討する場合は必ず獣医に相談しましょう。慢性疾患(腎臓病、心臓病など)の有無、定期的な投薬の必要性、移動中の嘔吐・下痢の既往歴、ワクチン接種の状況などを事前に確認することが重要です。
帰省期間と移動距離で現実的に考える
1泊2日程度であれば、成猫なら留守番が可能な期間です。2泊3日になると留守番の限界に近づきます。獣医師の見解では、エサ、水、トイレの砂を十分用意しておけば通常2泊は大丈夫とされていますが、トイレの衛生面や食事の管理を考えると、冬なら3日、夏は2日が目安となります。
3泊4日以上の場合は、留守番させるなら必ずペットシッターの利用か家族の訪問が必須です。1週間以上の長期帰省なら、ペットホテルかペットシッターの利用を真剣に検討すべきでしょう。
移動距離については、片道1時間以内であれば比較的負担が少なく、片道2~3時間ならこまめな休憩が必要で車酔い対策も考えましょう。片道4時間以上となると猫への負担が大きくなるため、留守番も視野に入れた判断が求められます。移動距離が長いほど猫のストレスは増大するため、獣医師の推奨では、長距離移動の場合は事前に練習として短時間のドライブを数回行い、猫を慣れさせることが効果的とされています。
留守番環境が整っているか確認する
留守番を選択する場合、室温管理ができること(エアコンのタイマー設定など)、自動給餌器・給水器が設置可能であること、複数のトイレを置けるスペースがあること、危険物を片付けられること、脱走の危険がないこと(施錠確認、窓の隙間なし)、停電時の対策ができることなど、様々な条件を満たす必要があります。
年末年始特有のリスクとして、大掃除後の洗剤や薬品の置き忘れ、正月飾りの誤食リスク、来客による玄関開閉での脱走リスクなども考慮しなければなりません。これらの条件が満たせない場合は、連れて行くかペットシッター・ホテルの利用を検討しましょう。

3. 連れて行く場合の移動準備と注意点
移動前の準備が成功の鍵
移動成功のカギは、事前のキャリートレーニングにあります。獣医師推奨の方法では、約4週間かけて段階的に慣れさせることが理想的です。
第1週はキャリーを部屋に常設し(扉は外しておく)、猫が自由に出入りできる状態にします。中にお気に入りの毛布やクッションを入れ、近くで遊んだり、おやつを与えたりして「安全な場所」と認識させましょう。第2週は中で過ごす時間を増やし、キャリー内でおやつを食べさせたり、好きなおもちゃを中に置いたりして、自然とキャリーで寝るようになるのが理想です。
第3週は扉を閉める練習です。扉を付けて全開の状態から少しずつ閉め、最初は数秒、徐々に時間を延ばしていきます。扉を閉めたらすぐおやつで褒めることを忘れずに。第4週になったら、キャリーに入れて部屋の中を歩き、慣れてきたら家の周りを5分程度歩きます。車がある場合は、エンジンをかけずに車内で数分過ごす練習も効果的です。
絶対に急がず、猫のペースに合わせること、病院直行などの嫌な経験をさせないこと、毎日少しずつポジティブな印象を積み重ねることが重要です。
移動の1~2週間前には、必ずかかりつけの獣医に相談しましょう。現在の健康状態が移動に耐えられるか、持病の薬は十分にあるか、車酔い対策として制吐剤の処方が必要か、ストレス軽減のためのサプリメントや薬、帰省先近くの動物病院の情報、ワクチン接種証明書の準備などを確認します。
フェリウェイという猫の頬から分泌される「フェイシャルフェロモンF3」を再現したフェロモン製剤も効果的です。ヨーロッパの臨床試験では、尿スプレーの75~97%で改善が見られ、猫に安心感を与えストレスを緩和する効果が科学的に証明されています。移動の1~2週間前から使用開始し、キャリー内、車内、帰省先の部屋にスプレーすることで、爪とぎや尿スプレーの回数が大幅に減少し、新しい環境への順応が早まります。
車で帰省する際の注意点
キャリーは後部座席の足元に置くのが最も安全です。シートベルトを使ってしっかり固定し、急ブレーキでも動かないように確認しましょう。助手席(エアバッグ作動時に危険)、トランク(温度管理ができず暗すぎる)、膝の上(運転の妨げになる)、シートの上(滑り落ちる危険)は避けてください。動物病院の推奨では、キャリーを大判のバスタオルで覆うことで、視界や音を遮断し、猫のストレスを軽減できます。
運転中は絶対にキャリーから出さないことが鉄則です。足元に入り込むと重大事故の原因になり、パニックを起こすと制御不能になります。ハーネスとリードを装着してから車に乗せ、万が一の脱走に備えましょう。休憩時もキャリーから出さず、トイレは携帯用トイレをキャリー内で使用させます。窓を全開にすると、わずかな隙間から脱走を試みることもあるため、換気は冷暖房で調整してください。
適切な車内温度は20~24℃が理想です。猫は寒さに弱く、低体温症のリスクがあるため、特に冬場は注意が必要です。エンジンをかける前にボンネットを叩く(野良猫対策)、暖房は足元から暖まるがキャリーの位置に注意、毛布やペット用ヒーターで保温、窓の結露や隙間風に注意といった配慮が求められます。
2~3時間に1回は必ず休憩を取り、サービスエリアや道の駅を活用しましょう。人の少ない時間帯・場所を選び、水分補給はスポイトで少量ずつ与えます(無理強いはNG)。様子を確認し、呼吸が荒くないか、嘔吐していないかをチェックし、優しく話しかけて安心させましょう。長距離移動の場合は、出発4時間前から食事を与えず(車酔い防止)、出発直前にトイレを済ませ、移動中はできるだけ静かにし、急発進・急ブレーキを避けることが重要です。
電車・新幹線での移動のコツ
JR東日本の公式規定によると、手回り品きっぷは290円(ケース1個につき)で、改札で駅係員に見せて購入します。サイズ制限はタテ・ヨコ・高さの合計120cm以内、ケースと動物を合わせて10kg以内で、動物の全身がケース内に完全に収納されている必要があります。グリーン車やグランクラスでも持ち込み可能ですが、他の乗客への配慮が必要で、鳴き声が大きい場合はデッキへの移動を求められることもあります。
年末年始の混雑ピークは、12月28日~30日の帰省ピーク(特に夕方~夜)、12月31日~1月3日の終日混雑、1月4日~5日のUターンピークです。猫連れにおすすめなのは、平日の日中(10時~15時)、始発駅から乗車(座席確保しやすい)、グリーン車(空いていて静か)といった時間帯や条件です。
座席は最前列または最後列の壁際で落ち着ける場所、デッキに出やすい通路側、車両の連結部近く(鳴いた時にすぐデッキへ)、可能ならグリーン車の個室が理想的です。
車内で静かに過ごすための工夫として、乗車2時間前に軽く遊んであげて適度に疲れさせ、乗車3~4時間前に軽めの食事を済ませ(満腹状態は嘔吐のリスク増)、出発直前にトイレを済ませます。車内ではキャリーを大きめのタオルで覆って視覚・聴覚を遮断し、乗車30分前にキャリー内にフェロモン剤をスプレーし、自宅の匂いがついた毛布や普段使っているおもちゃ(音が出ないもの)を入れておきます。飼い主が落ち着くことも重要です。不安は猫に伝わるため、静かに優しく声をかけてあげましょう。
ペットタクシーという選択肢
ペットタクシーは、公共交通が苦手な猫や、車を持っていない飼い主、プロの安心感が欲しい場合、長距離移動(片道3時間以上)の場合に特に適しています。
ドア・ツー・ドアの快適さで、自宅から帰省先まで直行でき、乗り換えのストレスもなく、荷物も一緒に運べます。プロのドライバーは動物の扱いに慣れており、急な体調変化にも対応でき、安全運転を徹底しています。飼い主の同乗も可能なため、猫の様子を見守りながら移動でき、安心感が違います。ペットのみの送迎にも対応しているため、飼い主が先に帰省し、後から猫を送迎してもらうことや、新幹線と併用することも可能です。
料金は距離制が一般的で、近距離(~30km)で5,000円~10,000円、中距離(30~80km)で10,000円~20,000円、長距離(80km~)で20,000円~50,000円以上が相場です。深夜・早朝(20:00~翌8:00)は通常料金の20~50%増となり、年末年始は特別料金が適用される場合があるため、事前確認が必須です。
予約は年末年始の場合、12月初旬には予約開始し、人気業者はすぐに埋まるため、特に12月29日~1月3日は激戦となります。最低でも2週間前、できれば1ヶ月前の予約が推奨されます。
👉年末年始の帰省に猫をどうする?ペットタクシーの使い方解説!

4. 帰省先での過ごし方と注意点
到着後の環境づくり
到着後すぐに、可能であれば1部屋を猫専用にするか、難しい場合は部屋の一角をパーテーションで区切りましょう。隠れられる場所として、キャリーをそのまま開けておく(安全な場所として認識)、段ボール箱に入り口を作る、テーブルの下にブランケットをかける、押し入れの一部を開放するなどの工夫が効果的です。
持参した毛布やタオル、猫のベッドや爪とぎなど、自宅の匂いを広げることも重要です。トイレ・水・フードは隠れ場所の近くに設置しますが、トイレと食事場所は離しましょう。
慣れさせる手順としては、到着後すぐはキャリーを閉じたまま部屋に置き、30分~1時間は部屋を静かにして猫を落ち着かせます。その後、扉を開けて猫が自分から出てくるのを待ち、無理に出そうとしないことが大切です。数時間~1日かけてゆっくり慣れさせましょう。
ストレスを最小限にする配慮
環境のギャップを最小限にするため、テレビの音量を控えめにし、掃除機などの大きな音を避け、年末年始の来客も最小限に抑えましょう。生活リズムを変えず、食事時間や遊ぶ時間、就寝時間も自宅と同じにします。フェロモン剤を帰省先でも1日1~2回使用し続けることも効果的です。
実家の家族が珍しがって触りすぎないよう、猫から近づいてくるまで待ち、無理に抱っこしないことを徹底してもらいましょう。いつもの遊びとスキンシップ、お気に入りのおもちゃで遊ぶ、ブラッシングやグルーミング、飼い主とのいつもの時間を大切にすることが、猫の安心につながります。
食欲不振、隠れたまま出てこない、攻撃的になる、過度のグルーミング、トイレ以外での粗相、下痢や嘔吐といったストレスサインが見られたら、無理せず早めに帰宅も検討しましょう。
脱走対策は徹底的に
帰省先での脱走は特に危険です。土地勘がないため帰れず、発見率も大幅に低下します。研究によると、脱走した猫の約34%が1週間以内に発見されますが、24時間以内が最も発見率が高い時間帯とされています。脱走地点から約1km圏内で発見されることが多いものの、知らない土地では猫自身も方向感覚を失いやすくなります。
玄関対策として、猫がいる部屋のドアを必ず閉め、玄関に入る前に必ず部屋のドアを確認する二重扉の確保が重要です。家族全員に徹底周知し、来客時は特に注意し、「猫がいます」の張り紙をするなどの工夫も有効です。簡易的でも構わないので、玄関前にペット用ゲートを設置すると安心です。
窓・ベランダ対策としては、換気を最小限にし、網戸は猫が破る可能性があるため、窓を開ける場合は上部のみわずかにとどめます。ベランダには絶対に出さず、就寝前に必ず窓の施錠を確認し、小窓や天窓も要確認です。カーテンを閉めておくことで外の刺激を減らし、脱走衝動を抑えることもできます。
万が一脱走してしまったら、すぐに捜索を開始してください(時間が勝負)。半径500m圏内を重点的に探し、夜間・早朝の静かな時間帯に名前を呼び、キャリーや食器など匂いのするものを置き、警察・保健所・動物病院に連絡し、SNSやポスターで情報を拡散しましょう。

5. 留守番させる場合の環境づくり
自動給餌器と給水器の準備
タイマー式の自動給餌器は、設定時間に決まった量を給餌でき、1日4~6回設定可能で規則正しい食事リズムを維持できます。価格相場は5,000円~15,000円です。カメラ付きタイプなら、スマホで食事の様子を確認でき、外出先から給餌が可能で、音声通話機能付きもあります(価格相場:10,000円~30,000円)。
容量が留守番日数分の食事が入るか、電源はコンセント式か電池式か、停電対策として電池バックアップ機能があるか、洗いやすさ(衛生管理)、タイマーの正確性、猫が壊せない頑丈さなどを確認して選びましょう。
給水器は、循環式(フィルター付き)が理想的です。常に新鮮な水を循環させ、フィルターで不純物を除去し、猫が好む流れる水を提供できます(価格相場:3,000円~8,000円)。複数箇所に設置してリスク分散し、トイレから離し、日の当たらない場所、ひっくり返らない安定した場所に設置し、予備の水入れも追加で設置しましょう。
留守番前には、1週間前から設置して慣れさせ、正常に作動するか確認し、猫が使えているか確認し、電池残量をチェックし、予備電池を用意しておきましょう。
危険物の徹底的な片付け
紐状のものは最も危険です。ビニールひも・輪ゴム、ヘアゴム・ヘアピン、裁縫道具(針・糸)、コード類(イヤホン、充電ケーブル)、カーテンのひも、リボン・ラッピング材などは、腸に詰まって腸閉塞を起こしたり、腸を切ってしまったりして、開腹手術が必要になる可能性があります。
ボタン電池(特に危険!)、ビーズ・アクセサリー、画鋲・クリップ、薬(人間用・ペット用)、サプリメント、化粧品、洗剤・漂白剤などの小さな物も、すべて高い場所に片付けるか、引き出しに入れて施錠しましょう。
テーブル・カウンターの上を空にし、引き出しをすべて閉め、棚の扉をロックし、ゴミ箱に蓋をする(または隠す)、洗面所・浴室の扉を閉め、洗剤・化粧品を高い場所に移動し、植物をすべて別室へ移動し、コード類をまとめて隠し、床に落ちている物を拾い、クローゼットを閉めるなど、徹底的に片付けましょう。猫目線で部屋を見回り、四つん這いになって手の届く範囲に危険物がないかチェックすることをお勧めします。
温度管理と照明の設定
冬場の室温管理では、20~24℃が理想的です。猫は寒さに弱く、低体温症は命に関わるため、特に子猫・シニア猫は要注意です。エアコンの温度設定は22℃前後が理想で、自動運転にして室温を一定に保ち、つけっぱなしが基本です。タイマー設定は切れたまま再起動しないリスクがあるため避け、停電後の自動復帰機能を確認しておきましょう。出発前には必ずフィルター清掃を行い、効率よく運転させ、故障リスクを低減させます。
停電対策として、電力会社への連絡先を確認し、ブレーカーが落ちていないか確認し、近隣に連絡先を伝えておき、ペット用ヒーターも併用(低温設定)し、毛布や猫ベッドを多めに配置しましょう。
猫は薄明かりでも見える目を持っていますが、完全な暗闇は不安を感じるとされています。完全に消さず、かといって明るすぎない薄明かりを維持し、間接照明が理想的です。タイマー付き照明で日中と夜間で明るさを変え、生活リズムを崩さないようにしましょう。24時間同じ明るさだと体内時計が狂います。
小型LEDライト(常夜灯タイプ、コンセント式、消費電力小、価格:1,000円~3,000円)やタイマー式照明(スマートプラグ+普通の照明、スマホで遠隔操作、時間ごとにON/OFF、価格:2,000円~5,000円)を活用し、トイレ近く、水飲み場近く、猫がよくいる場所にそれぞれ1つずつ設置し、手の届かない高さに設置し、コードをかじられない工夫をしましょう。

6. 年末年始特有のリスクと対策
停電や暖房停止への備え
年末年始は寒波による暖房需要の増加、在宅率の増加(料理など)、イルミネーションやライトアップ、電力会社の人員不足などにより、大雪や強風による電線トラブル、電力需要のピーク時、老朽化した設備のトラブルなどで停電が起きやすくなります。
停電時には、低体温症(暖房停止で室温急降下、特に夜間は危険、子猫・シニア猫は致命的)、自動給餌器・給水器の停止(電源式は作動しない、食事ができない、水が飲めない)、照明の消失(真っ暗で不安増大、方向感覚を失う)といったリスクがあります。
対策として、電力会社の緊急連絡先を確認し、電池式の給餌器・給水器を併用し、手動で開けられる給餌器を追加し、ペット用ヒーター(電気不要タイプ)を準備し、毛布や寝床を多めに用意し、懐中電灯を設置(人感センサー式)し、近隣住民に猫がいることを伝え、家族や友人に合鍵を預けておきましょう。
出発前にブレーカーを確認し、不要な家電のコンセントを抜き、電力消費を最小限にすることも重要です。スマートプラグで電力状況を確認し、温度センサーで室温を監視し、異常時の自動通知設定をしておくと、遠隔地からも状況を把握できます。
大掃除後の危険物管理
大掃除後は、窓用洗剤、カビ取り剤、漂白剤、ワックス、消毒液などの洗剤・薬品類が出しっぱなしになりがちです。これらを猫が誤飲すると、口内炎・食道炎、胃腸障害、呼吸困難など、命に関わる症状を引き起こす可能性があります。
掃除用具(雑巾、スポンジ、ブラシの毛など)や、透明ゴミ袋(窒息)、生ゴミの匂い(漁る)、ビニール片(誤飲)なども危険です。すべての洗剤を元の場所に戻し、掃除用具を片付け、ゴミは必ず家の外に出し、床に何も落ちていないか確認し、窓を全て閉め、換気扇を止める(隙間から侵入防止)、大掃除道具を猫の届かない場所にしまうなど、徹底した管理が必要です。
正月飾りによる誤食リスク
正月飾りについては、情報源によって見解が分かれている部分もありますが、いずれにせよ猫に触れさせないことが重要です。
松の葉については、一部の専門家は精油成分が猫にとって有毒であり、グルクロン酸転移酵素がないため代謝できず、肝障害を引き起こす可能性があると指摘していますが、別の情報源では「大きな毒性があるわけではない」とされています。ただし、化学的な毒性の有無に関わらず、鋭い葉先が口内や喉を傷つけたり、食道や胃を損傷したり、腸閉塞のリスクがあることは確実です。
しめ縄・稲わらは硬くて鋭く、喉に刺さる危険があり、食道や胃を傷つけ、腸閉塞のリスクが高くなります。水引・紐類は腸閉塞の原因No.1で、絡まると命に関わり、開腹手術が必要になることもあります。フェイク鏡餅の飾り(プラスチック製の橙や小さな装飾パーツ)は誤飲・窒息の危険があります。
対策として、玄関外のみに飾り、猫がいる部屋には持ち込まず、高い場所でも油断せず(猫は登る)、ガラスケースに入れるか、造花も避ける(誤食リスクは同じ)といった工夫が必要です。可能であれば、写真や絵で代用したり、猫が入れない部屋に飾ったり、帰省から戻ってから飾ったり、シンプルな飾りに限定したりすることをお勧めします。
もし誤食してしまったら、すぐに動物病院へ連絡し、何をどれくらい食べたか確認し、無理に吐かせず、水や牛乳を飲ませず、様子見は危険(内部で悪化)であることを理解し、迅速に対応しましょう。年末年始は事前に診療時間を確認し、救急病院の連絡先を控え、複数の病院をリストアップし、ペット保険の証書を用意しておくことが重要です。

7. ペットホテル・シッターを利用する場合
選択の基準と予約のタイミング
ペットホテルのメリットは、24時間体制で専門スタッフが常駐し、異変にすぐ気づけること、設備が整っていること(猫専用個室、空調管理、清潔な環境)、提携動物病院があり緊急時の対応ができること、写真・動画での報告サービスがあり、いつでも連絡可能なことです。
一方、注意点としては、環境変化のストレス、他のペットとの接触による感染症のリスク(ワクチン接種が必須)、料金が1泊3,000円~8,000円と高めであること、年末年始は特別料金が加算されること、予約が取りにくいことが挙げられます。施設の質にもばらつきがあるため、事前見学が重要です。
ペットシッターのメリットは、自宅で過ごせるため環境変化がなく猫にとって最もストレスが少ないこと、感染症のリスクがゼロであること、1対1のきめ細かいケアが受けられること、家の管理(郵便物の回収、植物の水やり)も兼ねることができ、防犯効果もあることです。
注意点としては、他人に自宅の鍵を預ける不安、訪問時のみのケアで24時間見守りではないこと、人見知りの猫は隠れたままストレスを感じることもあること、料金体系が複雑(訪問回数で変動、交通費別途、年末年始の特別料金)であることが挙げられます。
年末年始の予約は、11月中旬~に予約を開始し、第一希望を押さえ、複数施設を検討すること、12月初旬はまだ選択肢があるものの早めの決断が必要であること、12月中旬になるとかなり埋まり、妥協も必要でキャンセル待ちも視野に入れること、12月下旬はほぼ満室で新規予約はほぼ不可となり、知人に頼むことも検討する必要があることを理解しておきましょう。
信頼できる業者の見分け方
動物取扱業登録番号(法律で義務)、第一種動物取扱業の保管業または訓練業の登録番号を必ず確認し、自治体のサイトで照会可能であることを確認しましょう。信頼性を高める資格として、認定ペットシッター、愛玩動物飼養管理士、動物看護師、ペットケアアドバイザー、キャットシッター、トリマー(グルーミングも依頼する場合)などがあります。
損害賠償保険への加入は必須で、ペットの怪我や家財の破損、万が一の事故に備えられているか確認しましょう。保険証書のコピーを依頼することも可能です。
Googleマップのレビュー(実名・写真付きが信頼性高い)、SNS(リアルタイムの情報、ハッシュタグで検索)、口コミサイト(ペット専門の掲示板、地域のコミュニティ)などで、具体的な内容の良い口コミ、リピーターが多いこと、写真付きレビューが豊富であること、対応の丁寧さへの言及、トラブル時の誠実な対応などを確認しましょう。
可能であれば利用前に車両や施設を見学し、清潔さ・設備を実際に確認し、ドライバーやスタッフと面談し、不安な点はすべて質問することをお勧めします。

8. 移動中や留守番中のトラブル対応
移動ストレスによる嘔吐・下痢
移動4時間前から食事を与えず(車酔い防止)、水は少量のみにし、出発直前にトイレを済ませ、獣医に制吐剤を処方してもらい、フェロモン剤を使用し、キャリーを揺らさない運転を心がけるなど、事前予防が重要です。
嘔吐してしまった場合は、すぐに安全な場所に停車し、キャリー内を確認し、嘔吐物を取り除き、清潔なタオルで拭き、新しいタオルを敷きます。継続して嘔吐する場合は、最寄りの動物病院に連絡し、脱水症状に注意し、水を少量ずつ与え、移動を中断することも検討しましょう。
下痢してしまった場合は、キャリー内を清掃し、ペットシートを交換し、お尻を拭いてあげ、水分補給をします。血便、水様便が続く、元気がない、食欲がない、ぐったりしているといった症状があれば、即座に動物病院へ連絡しましょう。
到着後はしばらく食事を与えず胃腸を休ませ、水は少量ずつ、消化の良いフード(ウェット)を与え、様子を見て通常食に戻します。2日以上続く場合は獣医に相談してください。
帰省先で隠れて出てこない場合
環境の変化への恐怖、知らない場所での警戒心、飼い主以外の家族の存在、慣れない音や匂いなどが原因です。無理に出さず、猫のペースを尊重し、焦らず時間をかけましょう。数時間~1日は隠れたままでも正常です。
安全な隠れ場所を確保し、食事と水を隠れ場所の近くに置き、静かな環境を維持し、大きな音を避け、来客を最小限にし、実家の家族が珍しがって無理に触らないよう協力してもらいましょう。フェロモン剤を隠れている場所周辺にスプレーし、自宅の匂いを広げることも効果的です。
食事を食べているか、水を飲んでいるか、トイレを使っているかを確認し、3日以上全く動かない場合は獣医に相談しましょう。
飲まない・食べない問題への対処
ストレスによる食欲不振、環境変化への不安、水や食器の匂いが違うこと、フードの種類が変わったことなどが原因です。必ずいつものフードを自宅から持参し、同じ食器を使い、フードの変更は厳禁です。
少量ずつ分けて与え、温めて匂いを立たせ、ウェットフードに変え、おやつやちゅーるで誘うなど、食べやすい工夫をしましょう。食事場所は隠れ場所の近くで、静かな場所、落ち着いて食べられる場所を選びます。
水については、いつもの水(自宅から持参)を複数箇所に設置し、流れる水(循環式給水器)を試し、器を変えてみるなどの工夫をします。スポイトで少量ずつ強制給水したり、ウェットフードで水分補給したり、スープやミルク(猫用)を与えたりすることも検討しましょう。
24時間以上全く食べない、12時間以上全く飲まない、ぐったりしている、嘔吐を繰り返す、下痢が続くといった場合は、即座に動物病院へ連絡してください。特に子猫(数時間でも危険)、シニア猫、持病がある猫、肥満猫(肝リピドーシスのリスク)は注意が必要です。
年末年始の帰省は、猫にとっても飼い主にとっても大きなイベントです。連れて行くにしても、留守番させるにしても、「猫にとって何が一番ストレスが少ないか」を基準に考え、十分な準備をすることが何より重要です。
この記事で紹介した準備と対策をしっかり行えば、猫も飼い主さんも安心して年末年始を過ごせるはずです。大切なのは、愛猫への愛情と思いやり。今年の年末年始が、あなたと愛猫にとって、笑顔あふれる素敵な時間になりますように。
投稿者プロフィール

- 「ねこびとライター!ももこ」プロフィール
猫愛にあふれるライターです。
過去に保護猫活動の経験を持ち、猫たちの命を守るために全力を尽くしてきました。自宅では、あまあまの黒猫「まめ」とハチワレ「くるみ」の2匹とともに楽しい毎日を過ごしています。
現在はライターとしての仕事をしていて主に猫に関する記事を執筆しています。
また、ライターの仕事とは別に猫に関連する場所への旅行も好きです。新たな猫の友達と出会い、世界中の猫カルチャーを探求することことを目指しています!





























